地域の未来を育む就労探究―医療機関が見た高校生の可能性― 

2025.11.05
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2025年3月、ALL CONNECTがオーナー企業を務める福井ブローウィンズと福井県坂井市・福井県立丸岡高等学校が 「キャリア教育授業連携協定」を結び、福井県が直面する大きな課題「若者の県外流出」を解決すべく、地域・学校・企業が一体となった新しい教育プロジェクトをスタートさせました。 
⇒取り組みの詳細はこちら 

このプロジェクト内で、高校生が福井ブローウィンズのパートナー企業様の元で働き・お金を稼ぐことができる「就労探究」があります。 

前回は、参加した生徒たちの話を聞きましたが、 ⇒生徒インタビューはこちら 
今回は受け入れ先となった企業様にお話をお聞きしました。

≪就労探究受け入れ先企業≫ 医療法人 至捷会 木村病院  

左:看護部 師長 Kさん
右:総務課 課長兼統括マネージャー Nさん

【就労探究の業務内容】
・患者さんのお世話(お顔拭き・食事見守り・おむつ替え等)
・メッセンジャー(各フロアへお薬を運ぶ)
・ベッドのシーツ替え
・院内行事(夏祭り)のサポート



インタビュアー:
今回はご協力ありがとうございました。実際に生徒さんたちを受け入れていただいて、どのように感じられましたか?働いている中で、なにか変化を感じた部分などありましたか?

Kさん:
今回生徒さんに入ってもらったことで、患者さんの話し相手になってもらえたりとか、そういうところで良さがありましたね。生徒さんも徐々に慣れて、患者さんと打ち解けて、会話がどんどん増えてるなと変化は感じましたね。

インタビュアー:
患者さんにとっても、高校生くらいの若い世代と接する機会って、やはり少ないものですか?

Kさん:
そうですね。患者さんのお孫さん以外で高校生くらいの世代と関わる機会は少ないかと思います。それこそ、就労探究に入ってくれた生徒さんは自分のおばあちゃんよりも上の世代の患者さんが多かったので、最初は話し方が分からないと、戸惑いはあったみたいです。

インタビュアー:
生徒さんが業務に慣れるまでの過程は、どんな様子でしたか?

Kさん:
最初の業務で、患者さんのお顔拭きをしてもらったんですけど、声のかけ方とか分からなかったみたいで。「なんて話そう?」「声のボリュームってどのくらいだろう?」って結構悩みながら接する感じがあったのですが、後半は「お顔拭きますよ」とか、自ら声かけできるようになってましたね。

インタビュアー: 
試行錯誤しながらも、徐々に成長していく様子が見られたんですね。 実際この取り組みのお話を受けたとき、どう思われましたか? 

Nさん: 
初めての試みだったので、手探り状態でしたが、今回職員たちで話していたのは、給料を払うから今までの職場体験とは違ったことをさせてあげようと。 そして、今後医療福祉に少しでも関わってくれる人材が一人でも増えてくれたら嬉しいなという思いがありました。 

インタビュアー: 
生徒さんも、思っていたより就労探究で色々な業務ができて嬉しかった、良かったという声がありましたね。 

Nさん: 
それは良かったです。医療ドラマとかって、かっこいい部分が多く映し出されがちで、実際の現場だとギャップが大きくて大変という子のほうが多いと思うので。 

Kさん: 
ぜひそのまま医療の世界に飛び込んでほしいですね。

インタビュアー:
話は変わりますが、元々この取り組みは、若者の人口流出を止めるべく始まったものなのですが、この現象どう感じておりますか?

Nさん:
特に顕著に影響を受ける業界だと思っています。病院は資格社会なので、医師・看護師・薬剤師と国家資格持ちばかりなんです。その中で薬剤師だけを取ってみると、福井県内には学科がなく、県外に一度出ないと資格が取れない状況で。

インタビュアー:
県内に医療の道を目指している学生がいても、進学の時点で惜しくも県外流出が始まってきてしまうのですね。

Nさん:
住めば都といいますし、一度外に出てしまうと、若いうちは娯楽もたくさんあるし、都会で働こうとなる人は多い傾向にあると思います。そのままそこで家庭を持つと、地元に戻ってくる選択は厳しくなってしまいますよね。看護協会の新卒説明会も年に一度行きますが、協会の方もやはり県外流出というのは気にされてました。看護師も北海道から沖縄まで、資格があれば全国どこでも働けるので、最近では、県内の看護学科で国家資格だけとって、大阪行こう、名古屋行こうという人が増えているみたいです。

Kさん:
私の娘が看護学生なんですけど、福井県内の看護学科に入るのになかなか難易度が高かったり、看護師志望の学生は多くいるけれど、福井で入れないから県外の学校を受ける人もいたりするみたいで。医療を学べる環境が県内に少ないっていうのもひとつ要因なのかなとは感じましたね。

インタビュアー:
一度出てしまった若者が多くいる中で、地元で働くメリットや地元の会社について、もっと広く伝えていきたいところですね。

Nさん:
私は大学は県外で、就職は地元に戻ることをきめたので、福井へ帰って合同説明会に参加したりしましたけれど、出ている企業は福井でも名がある会社だったりが多くて。福井県って、日本一社長が多いと言われている中で、もっといい企業がたくさんあると思うんです。そこをもっと掘り起こすというか、若者へアピールしていくことは必要なのかなと思いますね。

インタビュアー:
今回の取り組みのように、少しでも高校生と地元企業と関わって、福井の企業の良さを感じてもらう機会を増やしていきたいですね。

Kさん:
もっとたくさん生徒さん来ていただきたいですね。それこそ、病院と学校でしっかり関わるような、それくらいの規模感でなにかやれたらいいですね。今回生徒さんにも病院で患者さんに楽しんでもらう一環で行っている院内の夏祭りを手伝ってもらいましたが、少しでも入ってもらえるとスタッフ側の負担軽減にもなりますし。

インタビュアー:
そういう機会を通して、医療の仕事を少しでも知ってもらえたらよいですね。きっと医師や看護師、薬剤師の他にも沢山あると思うので、そういう仕事を深く知ってもらえる場をもっと作っていきたいですね。

Nさん:
うちとしては大歓迎です。いろんな職種揃えますよ。沢山接点を持って、将来の候補のひとつにでもなれたら嬉しいです。

Kさん:
県外に出てしまっても、いつか福井に帰ってくる機会があった時、こういう病院あったなあと思いだすきっかけになってくれればと思ってます。そのためにもいま行ってるこの取り組みっていうのはすごくいいんじゃないかなと。

インタビュー:
ありがとうございます。今後も色々ご協力ぜひともお願いします。
本日はお時間いただきありがとうございました!

【医療法人 至捷会 木村病院】

理念として「心医体」を掲げられ、地域に根ざした医療機関として、誠意と真心を込めた最良の医療を提供することに力を注がれています。
所在地:〒919-0634 福井県あわら市北金津第57号25番地
HP: https://kimura-hospital.jp/

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