福井アリーナから新しい文化の醸成を。       ― 子会社、Fプライマルに迫る―

2025.10.08
  • 会社/事業
  • 社員インタビュー

2028年秋完成を見据え、計画が進められている『福井アリーナ』
本記事では、 福井アリーナの運営を担う、ALL CONNECT子会社・Fプライマルの展望に迫ります。


お話を聞いたのは…

ALL CONNECT子会社「株式会社Fプライマル」代表取締役 /
第四事業本部アリーナ推進事業部 部長
  
田辺 友宏

アリーナプロジェクトのはじまりとは?


インタビュアー:
福井市の東公園に計画が進められている福井アリーナですが、そもそもこの構想のきっかけはなんだったのしょうか?

田辺:
2024年3月、北陸新幹線が福井駅に開業することがきっかけになっています。
新幹線の開業を見据え、現在“都心部”と呼ばれる福井の中心市街地のにぎわい・まちづくりを目的として、福井商工会議所・福井県・福井市が「県都にぎわい創生協議会」を設立し、2022年秋には県都グランドデザインが策定。その中でアリーナプロジェクトは、にぎわいを醸成するための中核施設としてスタートしました。


インタビュアー:
なるほど、北陸新幹線の開業を機に、まちづくりのひとつとしてアリーナプロジェクトがあったのですね。その中で福井アリーナはオールコネクトがオーナー企業を務める「福井ブローウィンズ」の本拠地を予定していますよね?

田辺:
アリーナプロジェクトの話を受け、オールコネクトが参画していこうとなった時、アリーナの中身・コンテンツを充実させるため、Bリーグのクラブチーム立ち上げに話が進みました。

インタビュアー:
なるほど、先にアリーナプロジェクトがあり、そのあとで福井ブローウィンズが生まれていたのですね。

田辺:
そうなんです。それに伴い、福井アリーナプロジェクトも、Bリーグに2026-27シーズンから導入される B.PREMIER(新トップカテゴリ)の参入基準を満たすよう計画されることになりました。

沢山の力で支える、地方ならではのアリーナのかたち


インタビュアー:
全国のアリーナプロジェクトのなかで、日本を代表する大手企業がオーナーとなり、うまく進んでいるアリーナも多くあると思いますが、福井アリーナはどういった考え方なのでしょうか?

田辺:
福井アリーナは、一企業に頼るのではなく、地元の企業や多くの方々と力を合わせて進めています。
もちろん、大手企業が進めるアリーナプロジェクトもうまくいくと思います。
ですが、一社の力だけに依存してしまうと、その会社に何かあったときに計画が止まってしまうかもしれません。だからこそ、地方である福井では、大きな力でなくても、沢山の力が集まり、支えていくことが大切だと考えています。オールコネクトは“先導役” を担いながら、成功のために沢山の人を巻き込み、全員の力で支えていこう。という考えです。


インタビュアー:
そんな中、2025年3月にオールコネクトは子会社として株式会社Fプライマルを設立しました。
今後どういった立ち位置で進んでいくのでしょうか?

田辺:
福井アリーナを建設するのは、福井商工会議所の子会社である「株式会社福井アリーナ」となります
Fプライマルは建てる役割では無く、「株式会社福井アリーナ」から運営を委託される立場にあります。

インタビュアー:
オールコネクトは、子会社のオウデム株式会社が実行委員会に関わっているONE PARK FESTIVALなど、フェスの運営実績があると思いますが、アリーナの運営となると初めてになりますよね?
どのように事業を進めているのでしょうか?

田辺:
すでに開業しているアリーナやスタジアムにおける運営・興行誘致実績を持った企業の力を借り、そのノウハウを福井に当てはめながら計画を進めています。今後は、そういった企業の方々にFプライマルへ参画いただく予定で、一緒に力を合わせて実現を目指していきます。

インタビュアー:
沢山の方たちの協力を得ながら進めているのですね。子会社Fプライマルとしての立ち位置が理解できましたが、オールコネクトとしてはいかがでしょう?

田辺:
現在150億円の事業費の内訳として、国・県・市で60億円、民間での90億円となっています。その90億円のなかで、25億円分は寄付や出資・企業版ふるさと納税で集めます。さらに、そのうちの10億円分はオールコネクトが様々な営業活動を行い、責任をもって寄付や出資を集める、という役割があります。

インタビュアー:
なるほど、資金調達の一手を担っているということですね。

Fプライマルの向う先とは


インタビュアー:
2028年秋ごろ完成に向け、今後はどういったスケジュールなのでしょうか?

田辺:
そうですね、予定では来年2026年1月から実施設計に入り、そのまま順調にいけば2027年1月に建設がはじまり、2028年秋ごろに完成、といった計画になっていますね。

インタビュアー:
今から(2025年10月)約3年後の完成なんですね。
ずばり、Fプライマルとしての理念はありますか?

田辺:
一言で表すと、私たちが目指しているのは「新しい文化の醸成」です。
“新しい文化”には3つの意味があります。

まず1つ目は、これまで福井には存在せず、首都圏や海外にしかなかった文化をアリーナに誘致し、福井にインプットすること。これまでなかったものを福井に持ち込み、アリーナから県民へ広げ、波及させていきたいです。
2つ目は、福井に元々あるのに、まだ十分に広がっていない文化をアリーナを通じて発信していくことです。県民ですら気づいていない福井の魅力や文化が多くあります。そうしたものをまず県内に、そしてゆくゆくは県外へとアウトプットしていきたいです。
そして3つ目は、かつては福井に根付いていたけれど、時代とともに薄れつつある文化をもう一度よみがえらせることです。例えば、地域ごとに根付いた食文化などを現代にふさわしい形に“再定義”し、令和の時代に新たな価値として蘇らせたいと考えています。

そういった「新しい文化の醸成」を軸として、これからFプライマルは事業・興行誘致などの準備を行っていきます。


インタビュアー:
なるほど、イベントやコンテンツ誘致を行う中でも、しっかり福井で波及させ、還元していく。
そして福井を外に発信していく役割をFプライマルとしてアリーナで行っていくのですね。

田辺:
アリーナだけが盛り上がれば良い訳ではなく、アリーナはまちの一部です。来場者が街に出て、買い物や食事を楽しむことでさらに経済活動が生まれる、そうした街との相互関係が不可欠だと思っています。まずは都心部が盛り上がり、それが波及して福井全体の活性化に繋がっていくと思っています。

インタビュアー:
たとえ、アリーナでの興行・コンテンツに対して興味がない、行かない、という県内の人たちにも回りまわって、経済活動という形で還元されていく、地方創生の実現に繋がっていくといいですね。

田辺:
ですが、そういった経済活動の波及効果は、どうしても時間がかかり、すぐには実感しづらいものです。では、アリーナでのバスケや音楽に対して、興味がない方々にどんな良いことがあるのか?
ここをカバーするのが、県民利用枠になってくると考えています。

インタビュアー:
直近の報道でも目にしましたね。県民利用枠は県民がアリーナを安い料金で使用できるよう、一定日数分、福井県が利用枠をあらかじめ買い取る枠ですよね。

田辺:
ただ、アリーナの空いている日数枠を買い取ってもらっている、とかではなく。全国をみると、まだまだアリーナを一般の人が使用できる機会は少なくて。県営・市営体育館と違い、料金も高額になります。そこを福井県は、行政としっかり連携をとるからこそ、県民の方に、大型映像装置などの設備があるアリーナを使っていただける、これが実現できているんです。

インタビュアー:
普段アーティストや、それこそBリーグで使われているアリーナを自分たちも利用できるかも!と思うとなんだかワクワクしますね。

田辺:
県民の皆さんに、そう思ってもらえると嬉しいですね。福井の嶺北から嶺南まで、県全域のみなさんが行きたいと思う、予約がたくさん入る県民利用枠を県と一緒に協力して作っていかなくてはならないと思っています。特定の世代や特定の人にだけスポットを当てるのではなく、様々な世代に対し、その中でペットを飼っている人、スポーツが好きな人、アウトドアが好きな人、お酒が好きな人…などなど、県民誰しもひとりひとりが当事者になる、興味があるというコンテンツを実現していきたいです。

インタビュアー:
なるほど、県民ひとりひとりが身近に感じられて、福井の象徴になる、そんなアリーナ像が浮かびますね。

田辺:
福井アリーナは単なる建物としてだけでなく、そこから波及していく経済活動や文化を醸成していく象徴であるべきだと考えています。アリーナプロジェクトはまちづくりの最大のピースです。
アリーナを建てることは手段であって、街のにぎわいを生み出すのが本来の目的なので、アリーナを含めた街全体が象徴となり、人々の交流や経済活動の拠点になるべきだと思っています。

インタビュアー:
そのために、Fプライマルとしてはどんなアクションを考えていますか?

田辺:
アリーナで行われる興行・イベントが「全然関係ないな」「福井アリーナで何かやってるな」ではなく、「これ面白そうだな」「興味あるな」と思ってもらえるものを作り、それをしっかり知らせていくこと。そして、アリーナができてからいきなり経済活動が始まるのではなく、できたときに経済活動を最大化させるため、県の様々な観光資源と繋がる仕組みを準備し、情報発信していくことが、これからFプライマルのやるべきことだと思っています。


福井アリーナで期待を超えた先の感動を


インタビュアー:
最後に運営会社として、県民のみなさんに伝えたいことはありますか?

田辺:
「期待していてほしい」とか「楽しみにしていてほしい」って、今はアリーナに関する情報が少ないと思うので、そう思うことは難しいと思うんです。なのでまずは、Fプライマルからも沢山情報を出していくので「待っていてください」

そして、もちろん“期待に応えていく”ことも大切にしたいです。でも、応えるだけでは、納得いただくか、良くて満足いただくだけで終わってしまう。本当に大事なのは、 “期待を大きく超えた先にある感動”だと思っています。そのために準備していくので「楽しみに待っていてください」

インタビュアー:
“期待を大きく超えた先の感動” 今から待ち遠しくなりました。
貴重なお話、ありがとうございました!

株式会社Fプライマル HP:https://fprimal.jp/


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