福井大学竹本研究室とALL CONNECT、2025年度産学連携共同研究の成果報告会を開催

2025.12.03
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2025年12月3日、オールコネクト本社にて、福井大学大学院竹本研究室と共同で進めた2025年度産学連携プロジェクトの成果報告会を開催しました。
本報告会では、企業による年間総括、学生による研究成果、来年度の構想についてを共有しました。


企業からは、今年度の取り組みが前期と後期の二段階で進められたことが報告されました。
前期(5〜7月)では、約200名の学生を対象に講義とワークショップを実施し、福井ブローウィンズの社会的価値に関する仮説立案や調査アイデアの創出に学生が取り組んだ様子と成果を紹介しました。
後期(9月〜)では、竹本研究室と連携し、スポーツへの関心の高まりや生活の質への影響、観戦がもたらす感情の変化といった“定性的価値”を捉える評価指標の開発に向けて、調査設計やロジックモデル整理の支援、データ提供などを行ったことが説明されました。

また、学生が参加した各種コンテストの応募状況や結果に加え、メディア露出やWebでの情報発信が企業認知に及ぼした影響、学生と協働する中で得られた知見についても共有しました。


続いて学生からは、後期の共同研究で開発した、スポーツチームが地域にもたらす定性的価値を可視化するモデル「SMILE(Social Model for Invisible Local Evaluation)」が発表されました。
本研究に取り組む背景として、「福井はまだまだにぎわいが足りていないように感じる」「福井県をもっとにぎやかにしていきたい」といった学生ならではの問題意識が共有され、地域のにぎわいを可視化し、その創出に役立てたいという思いのもと、福井ブローウィンズを題材とした研究を進めてきたことが紹介されました。

調査では、県内の複数地域でのフィールドワークや WEB アンケートなどを通じて約1,400件の回答を収集し、それらを統計分析することでSMILEモデルを構築しました。
分析の結果、精神的健康、地域活性化意識、日常の楽しみ、地元への誇りなど9項目で構成される社会的価値スコアを算出し、年代や居住地域によるスコアの違いが明らかになりました。
また、観戦機会やクラブとの接点の多さが価値形成に影響していることも示されました。


SMILEは今年度新たに構築されたモデルであり、今後もデータを継続的に蓄積することで、年ごとの変化を追う時系列比較が可能になるほか、他地域や他クラブにも展開できる汎用的なフレームワークとして活用できる点が報告されました。
また、この指標が将来的に標準化され広く用いられるようになれば、スポーツチームへの投資やスポンサー参画といった意思決定を後押しし、スポーツを起点とした地域活性化を促す基盤になり得ることが強調されました。

当日は、福井ブローウィンズの運営を担当する事業本部の本部長が参加し、学生の発表内容に対して前向きな評価を述べました。調査の視点や分析を評価するとともに、今回及び今後の成果がクラブ運営の新たな示唆につながる可能性に期待を寄せるコメントがありました。


最後に、来年度はSMILEの改善と検証を進め、スポーツチームの社会的価値を継続的に評価できる仕組みとして発展させていく計画が共有されました。
分析の高度化やデータ蓄積の拡大を通じて、モデルの精度向上を図っていく方針が示されました。

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