岩井宏太が語る、社会的価値の追求と未来へのビジョン
- 代表取締役社長 岩井 宏太

代表取締役岩井が語る企業理念「社会をにぎやかに!」とは。さらに、オールコネクトを支える「どこにでも通用する人材を育てる」という人材戦略や、変化を成長の機会とする企業文化が、どのように新たな価値を生み出しているのか。オールコネクトの進化と未来展望に迫ります。
経済的成功から社会的価値の創造へ
インタビュアー:
創業20周年を迎えられるということで、企業理念である「社会をにぎやかに!」の考え方に変化はありましたか?
岩井:
2005年の創業当時「社会をにぎやかに!」という言葉は、経済的な成功を指す意味合いが強くて、売上や利益を上げることが最も重要で、それによって豊かさが生み出され”社会がにぎやかになっていく”という考えでした。しかし、この20年の間に「地方創生」や「SDGs」といった概念が広まり、企業が社会全体から求められる価値が大きく変わりました。
インタビュアー:
なるほど。時代の変化とともに「にぎやかさ」の意味も変わってきたのですね。
岩井:
そうですね。以前は、経済的なリターンを追求することで、社会は豊かになると考えていましたが、今ではそれだけでは不十分です。社会的な責任を果たすこともより重要視されるようになり、企業も利益だけでなく、社会にどのように貢献するかが問われるようになっています。
インタビュアー:
そういった変化に至るきっかけは何かあったのでしょうか?
岩井:
例えば、石油で莫大な資産を築いた世界的に有名な財閥が約10年前に「もう石油には投資しない」と宣言しました。これは環境への配慮からの決断ですが、利益を追求するだけではなく、持続可能な社会の構築が企業の責任として求められる時代になったと印象に残っています。
また、とある企業のコピー機選びの話も印象的でした。以前はコストの安さで選ばれていたコピー機が、今ではCO2削減効果の高いものが選ばれるようになりました。こうした価値観の変化を見て「社会に求められる基準が変わってきた」と実感しました。

インタビュアー:
確かに、企業が提供する価値と社会のニーズが変化してきているんですね。
岩井:
そうですね。その接点をしっかり見極め、企業としてどう貢献できるのかを考えなければなりません。経済的な利益を追求しつつも、社会的な意義のある事業を展開することが、今後ますます求められると考えています。
通信事業と地方創生の新たな挑戦
インタビュアー:
今後の事業展開についてもお聞かせください。まず通信事業の成長については、どのように考えていますか?
岩井:
通信事業は今後も成長させていきます。これまで培ってきた知見や実績をもとにより良いサービスの提供に力を入れていきます。通信の発展は、社会全体のインフラの強化にもつながりますし、地方創生にも貢献できます。
インタビュアー:
通信の発展が社会をにぎやかにする一助になるわけですね。「地方創生」という言葉も挙がりました。最近では、地域振興事業にも力を入れられていますが具体的にどのようなプロジェクトを進められているのでしょうか?
岩井:
一番大きな取り組みは、「福井ブローウィンズ」「アリーナ建設」「ONE PARK FESTIVAL」といったプロジェクトですね。地方をにぎやかにしようという考えのもと、一つの地域を活性化できれば、それを横展開することで日本全体が活性化できると考えています。
例えば、アリーナ事業は、私たちが独自に立ち上げたのではなく、県や市、商工会議所からの提案として生まれました。福井県の「県都グランドデザイン」の一環として、行政や地域企業と連携しながら進めているプロジェクトです。こうした取り組みは、スポーツを通じた地域の活性化を目的としています。スポーツには人を引き寄せる力があり、地域の誇りや経済的な活性化につながります。
また、子会社オウデムが展開する音楽フェスONE PARK FESTIVALも地域に根付いた事業の一つです。公園の再活用という形で、地域の人々が集まれる場を提供することが目的です。公園はもともと行政主導で整備されるものですが、私たちはそこに民間企業の視点を加えることで、新しい価値を生み出すことができると考えています。

インタビュアー:
通信事業と地域振興事業、一見異なるようですが、共通点はあるのでしょうか?
岩井:
共通点は「求められることに応える」という点です。通信事業も地域振興事業も、地域や社会のニーズに応じたサービスを提供することが本質的な役割です。
例えば、通信事業では「便利なインターネット環境が欲しい」というニーズに応える形で成長してきました。同様に、地域振興事業では「地域を活性化させたい」「新しい観光資源を作りたい」というニーズが存在します。それに応じた形で事業を展開していくことが、我々の役割だと考えています。
インタビュアー:
新規事業もかなり幅広く展開している印象ですが、事業を立ち上げるか否かの基準はどこにあるのでしょうか?
岩井:
最も重要なのは市場規模の大きさです。地方創生の市場は非常に大きなポテンシャルを持っています。また、地方創生には多くの領域が関わっています。観光、交通インフラ、エネルギー、食文化など、さまざまな視点から地域の活性化に取り組むことができます。
インタビュアー:
確かに、地方創生には多くの可能性がありますね。今後の挑戦について、どのように考えていますか?
岩井:
事業の多角化は必要不可欠です。通信事業だけではなく、新しい市場に挑戦し続けなければなりません。例えば、食の事業にも注目しています。食は日本の強みであり、世界市場でも戦える分野です。日本の食品は品質が高く、海外からの需要も増えています。
また、冷凍食品の分野でも新たな可能性を模索しています。物流の発展とともに食品の流通も大きく変わっていきます。私たちは、地域の特産品を全国・海外に届ける仕組みを作ることで、地域産業の活性化に貢献していきたいと考えています。
ジェネラリスト育成がオールコネクトの強みになる
インタビュアー:
業種も異なり、ビジネスモデルも異なる中で、それぞれの事業を成功させることができるのは、どのような強みがあるからなのでしょうか?
岩井:
そうですね、まだまだ発展途上ではありますが、私たちが大切にしているのは「どこにでも通用する人材を育てる」ということです。私たちは、スペシャリストよりもジェネラリストを育てることに重点を置いています。
これからの時代、特定の技術や知識だけを持つスペシャリストの仕事は、AIや機械にどんどん代替されていくでしょう。しかし、最終的な意思決定や責任は人間が担うべきものです。AIがどれだけ発達しても、「AIが決めたからこうしました」では通用しません。責任を持って判断できる人間が必要です。
インタビュアー:
なるほど。ジェネラリストを育てることが、幅広い事業展開を可能にしているということなんですね。
岩井:
そうです。私たちは、意図的に事業の多様性を持たせ、社員が異なる分野の経験を積めるようにしています。例えば、ある事業本部の責任者は、コンタクト本部の役職者から人事総務管理部門の本部長を経由して現在に至ります。また、地域振興事業の責任者も以前はコンタクト本部の責任者をしていました。このように定期的な異動を行いながら多様な経験を積んでもらうことで、どんな事業や部門にも適応できる人材を育てています。こうした取り組みを通じて、新しい事業を生み出し、成功させる力を培ってきました。そして将来的には、管理者と管理者候補で構成される洗練された事業者集団として組織を発展させ、世の中に大きな価値を提供する新しい事業を創出し続けることを目指しています。この様な人材育成がオールコネクトの強みだと考えています。

インタビュアー:
つまり社員の成長が、事業の成長にもつながっているわけですね。
岩井:
そうです。社員一人ひとりが多様な経験を積みながら、変化に強い組織を作ることが、私たちの最大の強みです。
変化を成長の機会に!挑戦を後押しする組織文化
インタビュアー:
社員の異動や新規事業へのチャレンジについてお聞きしましたが、それを支える組織の文化も重要ですよね。どのようにして、社員が変化をポジティブに捉えられる環境を作っているのでしょうか?
岩井:
私たちは、意図的に「新しい挑戦の機会」を提供することを大切にしています。新規事業には、若いメンバーが積極的に参加できるようにし、責任者としての役割と権限を与え、育成する仕組みを作っています。
例えば、新しいプロジェクトが始まると、経験の少ない社員でも積極的にチャンスを与え、責任を持ってもらいます。責任を持つことで、本人の成長にもつながりますし、組織全体としても柔軟性が高まります。
インタビュアー:
なるほど。それが変化に強い組織につながっているんですね。
岩井:
その結果、異動や変化をネガティブに捉えず、「変化することが当たり前」という文化が根付いています。異動を「させられる」と捉えるのではなく、「新しいことに挑戦できる機会」と考えられるようになれる、ということです。
インタビュアー:
その意識を持つことで、社員自身も成長していけるということですね。
岩井:
変化に対応できる力は、企業だけでなく、個人にとっても重要なスキルです。今後の長いキャリアの中で、同じことを続けるのではなく、新しいことにチャレンジし続けることで、価値を生み出せる人材になれると考えています。
インタビュアー:
確かに、今の時代に必要な考え方ですね。これからのオールコネクトの発展がますます楽しみです。
岩井:
ありがとうございます。これからも、社員一人ひとりの成長を支えながら、新しい価値を生み出していきたいと思います。
オールコネクトが目指す未来
インタビュアー:
今後、オールコネクトが目指すビジョンについて教えてください。
岩井:
これからも「社会課題を解決する企業」として、多様な挑戦を続けます。通信事業を強化しながら、地域の課題解決に貢献する新規事業を展開していきます。
また、「課題を最初に相談される企業」になりたいと思っています。例えば、通信業界ではエンドユーザーだけでなく、通信キャリアもステークホルダーです。そんな中で、「オールコネクトに相談すれば何とかしてくれる」という存在になれたら理想ですね。さらには「通信のかかりつけ」として、お客様が困ったときに真っ先に頼る会社がオールコネクトでありたい。サービスを提供する事業者側は契約期間を縛る傾向にありましたが、私たちは真逆の発想で、お客様に自由度を提供するサービスを展開しています。

インタビュアー:
なるほど。囲い込みではなく、自由を提供することで、逆にお客様が安心して使い続けられるわけですね。
岩井:
そうなんです。営業においても今は、プッシュ型ではなく、お客様に選ばれる企業を目指しています。
また、通信だけでなく地域の課題解決にも、さらに積極的に関わっていきたいと思っています。先ほどもお話しした通り、地域に根ざしたアリーナ事業やバスケットボール事業など、多岐にわたるプロジェクトを展開しています。「地域の困りごとがあれば、まずオールコネクトに相談しよう」と思われる企業でありたいですね。
インタビュアー:
通信業界だけにとどまらず、地域の課題解決にも力を入れていくということですね。
岩井:
そうですね。通信費の高さも課題の一つですが、より広い視点を持って、通信に限らず、さまざまな分野で「社会課題の解決」に貢献できる企業になっていきます。そして、社内の文化としても「常に変化を生み出せる組織」を目指しています。従業員が「自分から見えている社内の課題」を上司へエスカレーションを行い、会社全体を変えるきっかけとなる仕組みも作っています。会社の規模がさらに大きくなっても、そういった文化を育んでいきたいですね。
インタビュアー:
まさに、組織全体が柔軟でありながらも、社会課題の解決に向けて進化し続ける企業ですね。
岩井:
そうです。新しいチャレンジをどんどん行い、「次はオールコネクトが何をするのか?」と期待される存在を目指します。