会社の成長と組織変革を支える人事戦略
中途入社の実践者が語る「評価」と「多様性」
- ブランディング・コミュニケーション本部 部長 M.K.

中途入社し、人事制度や人材育成に力を注ぎ、会社の成長を支えてきました。通信事業を中心としていた組織が多角化を進める中で、柔軟な採用戦略や公平な評価制度を整え、性別や年齢に関係なく誰もが活躍できる環境を実現。また、どんな事業でも活躍できる「ジェネラリスト」の育成や、ライフステージに合わせた働き方のサポートにも積極的に取り組んでいます。成果を大切にする文化と、社員全員が成長できる仕組みを通じて、一人ひとりの可能性を広げることを目指しています。
転職を経て、たどり着いた今のキャリア
インタビュアー:
これまでの経歴について教えていただけますか?
M.K.:
私は2019年5月に中途採用でこの会社に入社しました。現在は人事部に所属し、人材育成や人事制度の構築を中心に担当しています。入社以来、人事の制度設計や採用業務など幅広く携わっています。
出身は福岡で、大学進学で上京しそのまま就職、結婚を機に退職し富山・福井と移住をしてきました。
インタビュアー:
かなり大きなライフチェンジですね。その間のキャリアの転換についても教えてください。
M.K.:
そうですね。はじめに就職した業界はIT・通信業界で、結婚・引っ越しを機に退職し、その後1・2年程度は完全に仕事から離れ育児に専念していました。
その後、富山の経営コンサルティング会社で働き始め、人事制度や組織設計の支援業務に携わるようになりました。コンサルティング業務を通じて「人事」という分野の面白さに気付き、また、過去に産業カウンセラーの資格を取得しており資格を生かしたいと考えていたこともあり、本格的に人事業務に取り組みたいと思ったのが、この会社に入社したきっかけです。
インタビュアー:
コンサルティング業務をされていたんですね。具体的にはどんなプロジェクトを担当されていたんですか?
M.K.:
例えば、クライアント企業の評価制度の見直しや、新たな人事制度の設計をお手伝いしました。この経験で、人事の仕組みが組織の成長に大きく影響することを実感しました。
インタビュアー:
その経験が、今の仕事にもつながっているんですね。人事制度をゼロから構築するというのは、特にやりがいを感じる部分ではないでしょうか?
M.K.:
はい、非常にやりがいがあります。仕組みを整えることで社員のパフォーマンスが上がり、結果として会社全体の成長につながるのを見られるのはとても嬉しいです。それに、人事の役割は単に制度を作るだけでなく、社員一人ひとりの成長を支えることでもあります。それがこの仕事の魅力だと感じています。

通信一本から多角化へ、進化する組織を支える挑戦
インタビュアー:
入社時と比べると、会社の事業や組織の状況がかなり変わっているように感じます。その変化をどのように見てこられたか、ぜひ教えてください。
M.K.:
確かに、私が入社した頃は通信事業一本で、それに特化した会社でした。しかし、その後、新しい事業が次々と立ち上がり、多角化が進みました。今では通信以外にも、例えばバスケットボール関連事業や新しい分野への展開が進んでいます。
インタビュアー:
通信からバスケットボール事業というのは、かなり意外性がありますね。社員の方々も驚いたのでは?
M.K.:
そうですね。「まさか自分の会社がそんな事業を始めるとは」と驚いた社員は多かったと思います。ただ、事業が広がる中で、組織としても「どう適応していくか」が大きなテーマになりました。それに伴い、人事制度や採用戦略も見直しが必要になりました。
インタビュアー:
具体的にはどのような見直しをされたのでしょうか?
M.K.:
例えば、通信事業に特化していた頃は、中途採用で即戦力となる管理職の採用が中心でした。しかし、多角化が進むにつれて、長期的な視点で人材を育成する必要が出てきました。そのため、新卒採用や若手社員の育成にも力を入れるようになりました。また、多様な事業に対応できるように、柔軟性の高い評価制度や人事制度を構築することも重要でした。
インタビュアー:
事業が増えると、それに対応する人材のスキルセットや組織運営の方法も変わりますよね。そうした中で、特に苦労したことはありましたか?
M.K.:
そうですね。一番苦労したのは、事業ごとに異なるニーズを満たしつつ、会社全体としての一貫性を保つことでした。例えば、通信事業では技術力や専門性が重視されますが、バスケットボール関連事業ではマーケティング力やエンターテインメント性が求められます。このように求められるスキルが異なる中で、全社共通の評価基準やキャリアパスをどう設計するかが課題でした。
インタビュアー:
確かに、それぞれの事業の特性を理解した上で、一貫した仕組みを作るのは簡単ではないですよね。
M.K.:
その通りです。ただ、その難しさを乗り越えることで、今では「どの事業に配属されても活躍できる人材を育てる」という共通の目標を持てるようになりました。組織が進化していく過程を支えるのは大変ですが、それだけやりがいのある仕事でもあります。

次世代リーダー育成の鍵は「ジェネラリスト」
インタビュアー:
事業の多角化が進む中で、それを支える次世代リーダーの育成が非常に重要ですよね。「ジェネラリスト」というキーワードがありましたが、具体的にはどのような人材像を目指しているのでしょうか?
M.K.:
「ジェネラリスト」というのは、特定分野に特化したスキルを持つだけでなく、どのような事業や領域でも柔軟に対応できる判断力やマネジメント力を持つ人材を指しています。当社では、通信事業やEC/メディア事業、地域振興事業、その他新規事業など、非常に多様な分野で事業展開をしているため、そうした幅広い適応力が求められるんです。
インタビュアー:
確かに、それだけ多様な事業を展開していると、領域ごとに必要なスキルも異なりますよね。その中で、どのようにして「ジェネラリスト」を育てていこうと考えていますか?
M.K.:
一つ重要なのは、リーダーシップの本質的な部分を言語化し、全社員に共有することです。例えば、「優れた判断を下すためには何が必要か」「複雑な状況をどう整理していくべきか」といった要素を明確にし、それを教育プログラムや人事制度に落とし込む必要があります。
インタビュアー:
そうしたリーダーシップの要素を言語化するのは簡単なことではないと思いますが、すでに成功事例などはあるのでしょうか?
M.K.:
はい、いくつかの成功事例があります。例えば、通信事業で活躍していた管理職が、新たに立ち上げたバスケットボール関連事業の責任者を務めるケースがありました。この時、その方が特に優れていたのは、「全く新しい分野でも必要な情報を素早く集め、適切に判断し、チームを導ける力」でした。こうした成功事例を分析し、どのようなスキルや経験がそれを支えていたのかを整理することが大切だと考えています。
インタビュアー:
なるほど。それを体系化することで、他の社員にもそのスキルを展開できるようになるわけですね。
M.K.:
そうです。それに加えて、具体的な研修や現場での経験を通じて、それを「身につけられる」仕組みを作ることも必要です。言葉で理解するだけでは不十分なので、実際のプロジェクトに参加してもらい、実践を通じて学ぶ機会を増やしていきたいと考えています。
ワークライフバランスのその先にあるもの
インタビュアー:
次に、ワークライフバランスやダイバーシティについて、御社の考えや取り組み事例についてお聞きかせください。
M.K.:
はい。まず、大前提として人事制度構築において、「ワークライフバランス」や「ダイバーシティ」といった言葉を謳い文句にすべきではないと考えています。とういうのも、「ワークライフバランスの充実」や「ダイバーシティの実現」は、それ自体がゴールではなく、会社と社員が成長を続けていくための一つの要素に過ぎない考えているからです。また、こうした言葉は、便利でわかりやすい反面、表層的な印象を与えてしまうこともあります。そのため、当社の経営理念の一つである「どこにでも通用する人材を育成する」という方針に基づき構築していく制度や環境を通じて、結果として「ワークライフバランス」や「ダイバーシティ」が体現されることを重視しています。
インタビュアー:
なるほど。それは確かに説得力がありますね。具体的には、どのような取り組みでそれを実現しているのでしょうか?
M.K.:
取り組みにおけるキーになるのは評価報酬制度です。当社の評価制度は実績・規律・姿勢の3要素で評価され、その3要素で処遇(昇降格など)が決定されます。働いた時間、勤続年数、年齢、性別は関係ないので、自ずと全員が公平にキャリアを築いていくことができる環境になっています。そこを後ろ支えする形で、育児や介護といったライフステージの変化に直面した際、社員がそれだけを理由にキャリアをあきらめることにならないよう年間休日選択制度・時短勤務制度・在宅勤務制度などを導入しています。
インタビュアー:
そうした制度を通して結果として「ワークライフバランス」や「ダイバーシティ」の実現ができるわけですね。実際の社員の声はどうですか?
M.K.:
「働きやすさを実感している」という声は多いですね。また、こうした環境があることで、社員が自分の能力を存分に発揮できるようになり、それが会社全体の成果にもつながっています。一方で、そうした制度を活用するためには、社員自身も自分のキャリアを主体的に考える必要があります。その点で、社員と会社が「成長」という同じ目的でつながっていることが非常に重要だと思います。

仕組みがつくる未来
インタビュアー:
お話を伺って、御社がどのようにして「実力主義」と「多様性」を実現しているのかがよく分かりました。
M.K.:
特に当社では、実力主義に基づく評価と報酬の仕組みから、社員と会社が相乗的に成長していく環境を整えることを大切にしています。それが自然と多様性の実現につながっていると考えています。
インタビュアー:
「仕組みを通じて多様性を実現する」という考え方がとても印象的でした。今後の展望について、最後に一言お願いします。
M.K.:
これからも社員が成長し、能力を発揮できる仕組みを作り続けていきたいと思います。そして、それを通じて、会社全体の成長を支える基盤をさらに強固なものにしていきたいですね。
インタビュアー:
本当に素晴らしいですね。本日はありがとうございました!