国内最大級の動画配信サービス「U-NEXT」を展開する株式会社U-NEXTが、2025年11月18日にMVNOサービス「U-NEXT MOBILE」をリリースした。
株式会社U-NEXTはMVNEとして2020年3月からMVNOサービス「y.u mobile」を提供しており、2025年10月には楽天モバイルとコラボした「Rakuten最強U-NEXT」がスタートしている。
今、株式会社U-NEXTが新たなMVNOサービスを始めた理由や狙いはどこにあるのか。
株式会社U-NEXT CX本部 モバイルサービスGの渡辺 未来氏に、「U-NEXT MOBILE」リリースのいきさつやサービスにかける想いをインタビューした。

渡辺 未来氏
Watanabe Mirai
2019年2月~ 株式会社U-NEXT インフラデザイン部 モバイル事業
2020年2月~ Y.U-mobile株式会社 マーケティング部 ブランドPR担当
(兼務)
2025年11月~株式会社U-NEXT CX本部 モバイルサービスG
U-NEXT MOBILEが2025年11月18日にリリース

2025年11月18日に株式会社U-NEXTが提供を開始した「U-NEXT MOBILE」は月間20GBのワンプランのみで、ドコモ回線を使うMVNOとなっている。
U-NEXT MOBILEが他社のMVNOサービスと大きく違う点は、U-NEXTとのセット割が適用され、U-NEXTで毎月付与される1,200円分のポイントをスマホ代に充当できることだ。
| U-NEXTとのセット利用時 | 通常料金 | |
|---|---|---|
| データ容量 | 20GB | |
| 初期費用 | 登録事務手数料:3,300円 eSIM発行手数料:440円 | |
| 月額基本料 | 1,800円 | |
| セット割引 | ∹300円 | ∹ |
| U-NEXT ポイント利用 | ∹1,200円分 | ∹ |
| 支払い総額 | 300円 | 1,800円 |
U-NEXT MOBILEのその他詳細を見る
| データ容量 | 20GB |
|---|---|
| 利用回線 | ドコモ回線 |
| 5G対応 | ○ |
| SIMタイプ | eSIMのみ |
| 契約期間 | なし |
| 音声通話 | 11円/30秒 |
| SMS通信料 /1通 | 国内から国内:3.3~33円 国内から海外:50~500円※1 海外から国内:100円※1 国内から海外:100円※1 |
| かけ放題 オプション | 5分かけ放題:594円 10分かけ放題:880円 無制限かけ放題:2,420円 |
| その他 オプション | 安心フィルタリング:330円 |
| データチャージ | 1GB:330円 10GB:1,200円 50GB:2,500円/月 |
| 支払方法 | クレジットカード |
※1:非課税
U-NEXTユーザーであれば、月間20GBのスマホプランを最安で月額300円で利用できる計算だ。
月額2,189円のU-NEXTとあわせても、スマホ代込みで毎月のコストは2,489円~となる。

U-NEXT MOBILEリリースの理由|楽天モバイル・y.u mobileとの違いは?

オールコネクトマガジン編集部そもそも、U-NEXTからMVNOサービスをリリースするに至ったきっかけは何だったのでしょうか?



大きな理由としては、動画配信サービスのU-NEXTの解約率を下げるための取り組みという部分があります。
おかげさまでU-NEXTでは順調に会員数が増えており、2025年11月には500万人を突破しています。
ただ、解約されるお客様の声や利用状況を分析すると、他の動画配信サービスと比べて料金が少し高いことが理由として挙げられます。
また、毎月付与される1,200円分のポイントをうまく活用できていない場合に、料金が少し割高に感じられているという傾向がありました。



U-NEXTは月額2,189円ですが、毎月付与されるポイントを差し引くと実質989円と他社の動画配信サービスと同水準か少し安いくらいですよね。



そうですね。U-NEXTポイントの利用価値を高めることができれば、ユーザー様の満足度も上がって価格に対する懸念も解消されるのではないかと考えました。
ポイントの使い道を広げていく方法の一つとして、毎月のスマホ代に充てることができれば、ユーザー様にとっても利便性が上がるのでは、というところから始まっています。
結果的に、弊社にとっても解約率の改善が期待できると考えています。
楽天モバイルと同時期リリースでユーザーに最適な選択肢を用意する





2025年10月1日には楽天モバイルからも「Rakuten最強U-NEXT」がリリースされています。
楽天モバイルでのリリースがあった直後に、U-NEXT MOBILEの提供をスタートさせた理由を教えてください。



自社サービスの「U-NEXT MOBILE」と楽天モバイルの「Rakuten最強U-NEXT」は同時並行で進めていました。
弊社ではユーザー様にU-NEXTとセットで使えるお得なスマホプランが2つあると提案するために、U-NEXT MOBILEと「Rakuten最強U-NEXT」をあわせて「モバイルsetプラン」とういうキーワードを使用しています。
そのため、「Rakuten最強U-NEXT」を10月1日からリリースすると発表した時点で、U-NEXTからもU-NEXT MOBILEを提供することを公表しました。
ユーザー様に最適なサービスを選んでいただく上で、2つのサービスが時期をずらして出るよりは、同じタイミングで選択肢を示した方が分かりやすいのではという思いから、ほぼ同時期でのリリースとなりました。



自社だけでもモバイルサービスとU-NEXTをセットにしてリリースすることはできたと思いますが、なぜ楽天モバイル様と協業することになったのですか?



一番の理由はデータ容量の選択肢です。
スマホユーザーのニーズとしてはあまりデータ容量を使わない小容量プランの方と、中容量帯の20~30GBの方、大容量~無制限で使う方に分かれます。
U-NEXTを普段から利用されるユーザー様は日常的に動画を見られる方が多く、20GBでも足りる方も多くいらっしゃいますが、無制限にギガを気にせず外でも動画を見たいというニーズもあります。
MVNOで大容量・無制限までカバーするのは技術的にはもちろんできますが、あまり得意分野ではないと考え、そこはキャリアである楽天モバイルにお任せした方がユーザー様にとってもメリットが大きいと考えました。



月間20GBまでで十分という方はU-NEXT MOBILEを、無制限級にデータを使いたい方は楽天モバイルをおすすめすることで、ユーザーのニーズに応えていくということですね!



どちらを優先して契約していただきたいということではなく、ユーザー様に容量をベースに自分に合ったプランを選んでいただきたいので、平等に二択で推していきたいです。


既存のy.u mobileとはニーズの違いで住み分ける


2020年3月には、U-NEXT HOLDINGSとヤマダホールディングスが共同出資した合弁会社Y.U-mobile 株式会社が「y.u mobile」の販売を開始。
現在もオンラインや全国のヤマダデンキ店頭で「y.u mobile」の申し込みができる。
y.u mobileの概要を見る
| シングル | シングル U-NEXT | シェア U-NEXT | |
|---|---|---|---|
| データ容量 | 10GB※1 | 20GB※1 | 40GB※1 |
| 月額基本料 | 1,070円 | 2,970円 | 4,170円 |
| U-NEXT | なし | あり | あり |
| データシェア | × | × | ○ |
| 初期費用 | 登録事務手数料:3,300円 SIM発行手数料:440円 | ||
| 利用回線 | ドコモ回線 | ||
| 5G | × | ||
| SIMタイプ | SIMカード ※eSIMには今後対応予定 | ||
| 契約期間 | なし | ||
※1:ギガ倍増特典適用時



すでに提供を開始しているy.u mobileとの違いはどこにありますか?



一つは販売チャネルです。
今回のU-NEXT MOBILEはオンラインでお申し込みいただくことが前提のサービスです。
一方、y.u mobileはヤマダデンキの店舗でもお申し込みいただけるので、「スタッフに相談しながら申し込みたい」「端末を店頭で一緒に買いたい」というお客様のニーズに応えられます。
また、y.u mobileはプランが複数あるので、U-NEXTなしのプランや家族でギガをシェアできるなど、用途によってはy.u mobileの方がマッチするお客様もいらっしゃると思います。



U-NEXT MOBILEとy.u mobileではターゲット層が異なるということですね。



はい、ユーザー様のニーズにあわせて住み分けをしています。
開発で苦労した点は「容量と価格のバランス」





U-NEXT MOBILEの立ち上げからリリースまで、一番苦労した点は何ですか?



サービス設計目線でいくと、モバイルサービスのプラン設計は容量と価格が大部分を占めるので、そのバランス調整に苦労しました。
U-NEXT MOBILEはポイントを使うとモバイル代だけで実質300円という低価格で提供するので、収益性を担保しながら価格競争力を維持するために、検討を重ねています。
実際にユーザー様がどのくらいギガを使うのか、通話やチャージの利用がどれくらいあるのかが分からない状態で、これまでのMVNOサービスの経験を活かしながら試算しました。
1回決めたことをまた振り出しに戻してということも繰り返しながら、容量や価格を設定したことが苦労点です。



サービス面以外で、開発上の苦労はありましたか?



これまでモバイルサービスと動画配信サービスの事業で接点があまりなかったのですが、U-NEXT MOBILEをリリースするにあたり、今まで関わりのなかった部署の方にもたくさん協力いただきました。
ただ、私自身も動画配信サービスの事業は知らない部分もあり、同じく他部署の方もモバイルサービスのことはあまり知らない中でのコミュニケーションには苦労する部分もありましたが、丁寧なコミュニケーションを心掛けたつもりです。
ターゲット層はお得感を感じられるU-NEXTユーザー



U-NEXT MOBILEのターゲット層としてはどのようにお考えですか?



やはりU-NEXT MOBILEはU-NEXTとセットで使うことで、一番お得感を感じられるプラン設計になっています。
そのため、ターゲット層として一番はU-NEXTをすでに使っているユーザー様です。
また、月間20GBの中容量であれば十分という方がメインになってくると思います。





また、U-NEXT MOBILEは申し込みがオンライン専用のため、オンライン申し込みに抵抗がない方や、Webでサービスを申し込むという経験がある方にも積極的にアプローチしていきたいです。
サービス開始後の加入者は30~40代の男性がボリュームゾーン



U-NEXT MOBILEのサービス提供開始から1週間ほど経ちましたが、実際にどのような方が加入されていますか?
※2025年11月26日インタビュー実施



10月1日に楽天モバイルでの「Rakuten最強U-NEXT」提供開始の時点でサービスの告知はしておりましたので、受付開始の当日から申し込みいただけるお客様もいらっしゃいました。
楽天モバイルのRakuten最強U-NEXTと比較して、事前に検討されていたお客様が最初にお申し込みいただけたのかなと感じております。



加入される方の年齢層や属性はいかがですか?



30代、40代というところがボリュームゾーンです。
これまでMVNOサービスを運営してきた経験から、今申し込んで下さっているお客様は情報感度が高い方やガジェット好きな方、いろんなモバイルサービスを使ってこられた方、リテラシーが高い方なのかなと感じています。
今後はもう少し若い世代や、女性からの支持も得られるようにアピールしていきたいと思います。
ブランドデザインは女性や若い世代も意識している



若い世代や女性からの支持を得ていくために、具体的な施策などはありますか?



U-NEXT MOBILEのブランドデザインを考える時に、丸いバブルのようなモチーフを散らして、少しポップでかわいらしいイメージを意識しました。
▼U-NEXT MOBILE公式サイトのイメージ





若い世代に向けたアプローチとしては、文章で伝えるよりもイラストや短いアニメーションなどの動画を使ってコミュニケーションを取っていけたらと思っております。
U-NEXT MOBILEのサービス内容はU-NEXTの拡張機能をイメージ


U-NEXT MOBILEの特徴については、以下のポイントが挙げられる。
- プランは月間20GBのワンプラン
- 余ったデータは100GBまで永久繰り越し可能
- データチャージもできる
- ドコモ回線で5G回線にも対応
- eSIMのみで申し込みを受け付ける
- サポートはモバイルだけでなく動画配信サービスにも対応
U-NEXTのサービス内容やこだわりについて、さらに掘り下げて聞いていく。
データ永久繰り越しも踏まえた月間20GBのワンプラン





U-NEXT MOBILEは月間20GBのワンプランですが、データ容量を20GBに設定した理由を教えてください。



実を言うと、最初は10GBで設計を始めていました。
しかし、U-NEXTで動画を見るユーザー様であればある程度ギガを気にせず使いたい方が多いのではないかというところで、10GBよりも余裕がある20GBになりました。



30GBという選択肢はありましたか?



そうですね、最近のトレンドとしても30GBをメインに据えているキャリアも増えているという印象を持っています。
もちろん30GBの可能性も考えましたが、U-NEXT MOBILEの特徴として有効期限なく繰り越しができるという点があります。
20GBプランであっても毎月使い切るよりは少し余らせてしまうユーザー様も多いので、ギガを多く使う月があったとしても繰り越した分でカバーできると考え、20GBに落ち着きました。



では、繰り越しの機能も踏まえて、安心感のあるデータ容量が20GBだったということですね。
ちなみに、データチャージも可能ですか?



はい、データチャージについては1GB=330円、10GB=1,200円、50GB=2,500円と容量が多いほどお得になる料金設計となっています。
追加チャージのデータ容量も永久繰り越しの対象になるので、毎月大容量のプランに入って高い料金を固定で払い続けるよりは、足りない時にチャージして余ったら繰り越せる方がお客様に優しいと考えます。
U-NEXTでコンテンツを購入する感覚がeSIMでの提供にマッチする



U-NEXT MOBILEはeSIM専用のプランですが、物理SIMではなくeSIMのみで提供する理由を教えてください。



U-NEXT MOBILEはモバイルサービス単体で売り出すのが目的ではなく、動画配信サービスのU-NEXTの拡張機能という位置付けで、ポイント活用の一環として提供したいという思いが強くあります。
U-NEXTのユーザー様であればアプリを使ってコンテンツを購入するという体験をされている方も多いため、全てオンラインで完結するという世界観の方がマッチすると感じました。
物理SIMですと申し込みから配送までに時間がかかったり、SIMの抜き差しにも手間がかかったりしますが、eSIMであればスマホ一つで完結します。
モバイルサービス自体がOTT化するイメージで捉えており、それがeSIMでの提供の理由になっています。



U-NEXTのユーザーの感覚にマッチした形が、スマホで申し込んですぐ使えるeSIMということですね!



あとは、今年発売のiPhone最新モデルもeSIM専用端末となっています。
長い目で見ると物理SIMは縮小していって、eSIMがスタンダードになっていくのではないかと考えています。
それを見越した上で、eSIM一択にして選択肢を少なくする方がユーザー様の迷いが無くなると思ったのも理由です。
サポートはモバイルだけでなくVODも含めワンストップで対応



動画配信サービスのU-NEXTやy.u mobileなど他サービスも長く運営されているのでサポートにも力を入れていらっしゃると思いますが、モバイルに関してはどのように対応されていく予定ですか?



サポートに関しては実績もありますので、これまでの経験を活かしながらU-NEXT MOBILEでも行っていけたらと思います。
また、弊社の強みとしてU-NEXTも含め自社サービスを一貫してサポートできるという点があります。
U-NEXT MOBILE専用のサポート窓口を設けていますが、モバイルだけでなく、動画配信サービスに関するお問い合わせにも対応できます。



ワンストップで困り事やトラブルも全てサポートしてもらえるのは安心できますね!
U-NEXT MOBILEの今後の展開について





U-NEXT MOBILEの今後の目標としては、どのようなものがありますか?



動画配信サービスのU-NEXTは31日間無料トライアルがあり、U-NEXT MOBILEを契約された方も利用できます。
無料トライアルで契約されても解約される方は一定数いらっしゃいますし、特定の作品を見たいという理由で出入りされる方もいらっしゃいます。
我々も無料トライアル中での解約や出入りはネガティブに捉えているわけではなく、「また来てね」という感覚です。
今回U-NEXT MOBILEが登場し、U-NEXTとセットにするとお得になることで、戻ってきていただける確率が高くなってほしいと思っています。
U-NEXTは月額料金で見ると高価格帯ですが、モバイルとセットでスマホ代が300円になるならずっと続けてもいいと思って下さる方が増えると期待しています。
また、現在U-NEXTを利用中で毎月のポイントを余らせてしまっているユーザー様に、ポイントの使い道や選択肢を広げてもらい、サービス自体の価値を高めていくのも目標にしています。



U-NEXT MOBILEのターゲット層はすでにU-NEXTを利用されている方ということでしたが、これからサービスを検討される方に向けてのメッセージはありますか?



U-NEXTは他の動画配信サービスと比べて「価格が高い」と思われていて、価格をネックに利用をためらっている方も多くいらっしゃると認識しております。
一方で携帯電話料金に毎月5,000円以上支払っている方も多くいらっしゃる認識で、U-NEXT MOBILEならU-NEXTの月額プランと20GBのスマホプランを合わせて2,500円を切ります。
その価格であれば今使っている他の動画配信サービスも残しながらU-NEXTも利用するという使い方ができるので、ぜひ一度トライしていただきたいと思います。



今後はどのようなサービスになっていきたいですか?



U-NEXT自体はコンテンツ配信事業ですが、今回モバイルサービスとセットになったことで、よりインフラサービス側に近づいたと感じています。
今後も、お客様にとってなくてはならない存在を目指していければと思っております。
動画配信サービスとモバイルサービスを融合し、ユーザーの利便性を一段と高めた「U-NEXT MOBILE」。
U-NEXTポイントの新たな活用の可能性として、その魅力をさらに際立たせることだろう。
U-NEXT MOBILEとU-NEXTのさらなる進化に、今後も期待したい。













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