アイドル×格安SIM「ゆるモ!」はなぜ生まれた?仕掛け人が語る誕生の舞台裏

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ゆるモ!インタビューアイキャッチ画像

アイドルと格安SIM、畑違いに思える2つの世界が手を取り合い、生まれた通信サービスがある。

それが、アイドルグループ「ゆるめるモ!」と株式会社モバイルアーツが手がける「ゆるモ!だ。

ゆるめるモ!のメンバーたちが企画段階から参加し、推し活のリアルに寄り添った「上り無制限」というプラン設計や、加入するだけでグループの支援につながる仕組みを展開するなど、独自性の高いサービスとなっている。

アイドルの推し活×格安SIMという画期的な取り組みは、どのような背景から生まれたのか。

ゆるモ!誕生の舞台裏とサービスに込めた思いを、株式会社モバイルアーツ代表・萩原智晴氏にインタビューする。

インタビュー企業紹介
モバイルアーツ萩原様

萩原 智晴氏
Hagiwara Tomoharu

エンタメ業界、通信業界を経て、2018年に株式会社モバイルアーツを設立し代表取締役に就任。通信コンサルティングを中核の事業とし、延べ100社以上のMVNO事業参入を手掛ける。2026年7月にはアイドルグループ「ゆるめるモ!」を傘下のグループ会社におき、推し活×通信という新たな取り組みにも挑戦している。

目次

ゆるモ!誕生の背景―アイドルと格安SIMが出会った理由

ゆるモ!
引用:ゆるモ!

2026年2月6日サービスを提供開始した音声通話付きSIM「ゆるモ!」

ゆるモ!最大の特徴は、売上の一部がアイドルグループ「ゆるめるモ!」の活動資金になるという点にある。

ゆるめるモ!とは
引用:ゆるモ!
オールコネクトマガジン編集部

まずは株式会社モバイルアーツとゆるめるモ!との関係性を教えていただけますか?

ゆるめるモ!は2012年に結成されたのですが、プロデューサーが私の昔の仕事仲間でした。

プロデューサーとの縁をきっかけに、昨年10月のゆるめるモ!のライブを株式会社モバイルアーツが協賛し、次は「格安SIM×ゆるめるモ!」で推し活のSIMを作ろうというアイデアが生まれました。

オールコネクトマガジン編集部

現在、ゆるめるモ!はメンバーのねるんさんが社長を務める「ゆるめるモ!合同会社」を立ち上げ、株式会社モバイルアーツのグループ会社となっています。

こちらの経緯もお聞かせください。

萩原氏

ゆるめるモ!との格安SIMサービスを立ち上げる延長線上で、グループ自体も今後どういった方向性で活動していくかという話が挙がりました。

それなら「自分たちで会社を立ち上げてセルフプロデュースで活動してみよう」ということになり、モバイルアーツがバックアップして、2026年6月1日に会社を設立しています。

ゆるめるモ!合同会社を通じて、メンバー自身が目指す思想やゆるめるモ!としてのコンセプトを多くの人に広めていくことを目的に、モバイルアーツが支援するという形で合流することになりました。

ゆるめるモ!が持っていた「ファン」という基盤

株式会社モバイルアーツではこれまで、通信事業に参入したい企業を支援するMVNO向けコンサルティング業を主軸に事業を展開してきた。

これまでいくつもの格安SIMサービスを手がけてきた同社が、「アイドル×格安SIM」という組み合わせに勝算があると感じた理由はどこにあったのだろうか。

オールコネクトマガジン編集部

格安SIMとアイドルの組み合わせに、どのような魅力を感じられたのでしょうか?

萩原氏

ゆるモ!誕生には、弊社がコアビジネスに位置付けるMVNOへの参入支援が背景にあります。

前提として、スマホはある意味インフラのようなもので、一人一台以上持っている一番身近なツールとして、格安SIMやモバイル事業に新規参入したい事業者は増え続けています。

その頂点にあるのがドコモをはじめとするキャリア4社で、その回線を使って様々なサービスを展開しているのがMVNOです。

お客様のニーズに合わせて適切な回線を調達し、サービス開始までサポートするのが弊社のコンサルタントとしての立ち位置です。

モバイルアーツ
引用:モバイルアーツ
萩原氏

しかし、MVNO業界はすでにレッドオーシャンで、非常に競争的な世界となっているため、新たに参入しようとしても実際は難しいというのが課題です。

弊社ではコンサルタントとしてお客様にアドバイスする際、「基盤としての強みが会社もしくはサービスにないと、新規参入してもお客さんは契約してくれない」ということをお伝えしています。

特によくお話するのが「顧客基盤」です。

例えば最近だとANA(全日本空輸株式会社)がモバイルサービスに参入しましたが、そこにはAMC(ANAマイレージクラブ)という数千万人規模の顧客基盤があります。

既存の顧客基盤にスマホサービスを提供することで、さらにマイル獲得が進んだり、スマホも便利に使えたりという相乗効果があります。

また、もう一つは「販売基盤」です。

例を挙げるとイオンリテール株式会社が運営する「イオンモバイル」は、全国のイオン店舗にイオンモバイルの窓口があって、お客様と対面でサービスを説明しながら契約が取れる利点があります。

顧客基盤、販路基盤、あるいはサービスの優位性。

そのどれか、もしくは複数がMVNOのサービスには必要不可欠です。

今回ゆるめるモ!と接点を持ってその強みが何かと考えたら、やっぱり「ファン」が大きな顧客基盤であり、最近流行りの「推し活」と組み合わせるサービスは強みになると感じました。

ゆるモ!還元 (新衣装)
引用:ゆるモ!
萩原氏

SIM契約で売上の一部がゆるめるモ!に還元されるサービスは、ファンの方にとって特別なことです。

スマホというインフラを利用するだけで推し活になり、ゆるめるモ!のメンバーにも認知されるというメリットがあれば、大きな基盤になると信じ、ゆるモ!を企画しました。


MVNO支援の経験を活かした2社での役割分担

ゆるモ!ロゴ


ゆるモ!では、通信サービスとしての運営(電気通信役務提供者)はスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社が担い、サービスの企画・販売はモバイルアーツが担当する。

オールコネクトマガジン編集部

スマートモバイルコミュニケーションズとの関係性や、役割を切り分けた理由も詳しくお聞かせください。

萩原氏

今回、ゆるモ!をスマートモバイルコミュニケーションズと分業制で運用する背景として、スマートモバイルコミュニケーションズと一緒に企画・運営している「かんたんMVNO」というビジネスモデルがあります。

これは弊社がサービス構築や顧客サポートまで担当し、実際のSIM運用はスマートモバイルコミュニケーションズが行うというモデルです。

かんたんMVNO
引用:モバイルアーツ
萩原氏

ゆるモ!でもかんたんMVNOのスキームを使い、モバイルアーツがフロントに立ちながら、実際のSIM運用は通信業者としての実績があるスマートモバイルコミュニケーションズが行います。

オールコネクトマガジン編集部

SIM運用をスマートモバイルコミュニケーションズが担当することで、通信サービスとしての安全面・安心感を担保しているということでしょうか。

萩原氏

そうですね。特に今回のようなタレントとのコラボしたサービスの場合、芸能事務所が格安SIMに詳しいかというと一般利用者レベルでしかありません。

「餅は餅屋」で、格安SIMの運用は専門の事業者にお任せし、我々がその良さをお客様に伝えることで集客につなげるというイメージです。

サポート体制も切り分けることでユーザーの安心感を担保

オールコネクトマガジン編集部

格安SIMはサポート体制も重視して選ばれるお客様が多いと思いますが、サポート窓口になっているのは株式会社モバイルアーツですか、スマートモバイルコミュニケーションズですか?

萩原氏

サポート体制も、お客様のお問い合わせ内容に応じて2社で分担しています。

通信サービスにおけるサポートは、回線を提供しているスマートモバイルコミュニケーションズが担当し、特典であったり、ゆるめるモ!の活動に絡むお問い合わせ、いわゆるゆるモ!の付加価値の方に関しては、株式会社モバイルアーツが担当します。

お客様の立場から見れば、芸能事務所が通信サービスまでサポートすると言うと、逆に不安に感じられると思います。

長年通信サービスを提供してきたスマートモバイルコミュニケーションズがサポートを担当することで、初期接点から障害が起きたときまで、適切な対応を行えるようになっています。

一方、ファンの方が気になる部分、自分たちが加入したサービスによってゆるめるモ!がちゃんと支援を受けられているのか、自分たちにどういったサポート・特典があるのかといったお問い合わせには、ゆるめるモ!に近い立場にあるモバイルアーツが対応することで、直接声が届きやすい環境を整えています。

推し活に寄り添うプラン設計―メンバーもいいと思えるサービスを目指す

ゆるモ!プラン
引用:ゆるモ!

ゆるモ!は月額3,080円で上りはデータ無制限、下りは月間50GBまで使えるワンプランで展開している。

オールコネクトマガジン編集部

プラン設計や料金設定の部分はモバイルアーツが企画を担当したのでしょうか?

萩原氏

はい。世の中にたくさんある料金プランの中で、どういうサービスなら勝負ができるか、お客様が喜ぶかにフォーカスして設計していきました。

実際にゆるめるモ!のメンバーのうち2人に協力してもらい、一緒にサービスを企画してサービスを作っていくことを一つのコンテンツストーリーとして発表しながら進めていった経緯があります。

ゆるモ!企画会議
引用:ゆるモ!
オールコネクトマガジン編集部

メンバーもプラン設計に携わったという部分も、ファンの方にとっては価値がありますし、愛着のあるサービスになりますね。

プラン構築でのこだわりも、くわしくお聞かせください。

萩原氏

ファンの方はコンサートやフェスに行った際、推しの写真を撮ってSNSにアップすることが多いと思います。

写真や動画をアップロードするとき、容量(ギガ)を気にしなくていいのは嬉しいと思い、ゆるめるモ!をもっと拡散してほしいという願いも込めて、上りは無制限に設定しました。

また、通常は上りと下りを合わせて月間データ容量をやりくりしなくてはいけませんが、ゆるモ!は上りが無制限なので、50GBと十分なデータ容量を「下り」だけで使えるのも大きいと思います。

オールコネクトマガジン編集部

推し活をされる方の用途にマッチしたプラン設計ということですね。

上り無制限や下り50GBというプラン内容も、ゆるめるモ!のメンバーの方と考えられたのですか。

萩原氏

メンバーには「今どういうキャリア・どういうプランを使っているか」「ギガはどのくらいあったら嬉しいか」を会議の中でヒアリングしました。

「30GBじゃ足りない」といった声が出てきて、今は格安プランでも中容量帯が人気ですが、その上を行かないと今の若者には足りないと分かり、データ容量の設計を引き上げたという経緯があります。

メンバー自身が「いい」と思うサービスであることが重要だと考えます。

自分たちが手がけたサービスだから、ファンの皆さんにも使ってもらいたい。

使ってもらえれば自分たちにも還元されて、より大きなステージへ、もしかしたらいつかは武道館に立てるかもしれない。

メンバー自身が目指すそんな未来も踏まえて、一緒にプランを設計しています。

ゆるめるモ!ファンだけでなく推し活を楽しむ人をターゲットに見据える

オールコネクトマガジン編集部

上り無制限が特徴のプランは、ゆるめるモ!のファンでなくても魅力的なサービスに感じます。

現時点ではファンの方がターゲットだと思いますが、将来的には幅広く広げていきたいという思いはありますか?

萩原氏

そうですね、推し活向きにサービススペックを充実させることで、新しいユーザーを取り込めると考えます。

また、ゆるモ!を契約することで初めてゆるめるモ!を知り、新たにファンになるというストーリーも狙っています。

ファンへのベネフィットも踏まえたプロモーションを展開

オールコネクトマガジン編集部

格安SIMの新サービスとして、ゆるモ!の知名度を上げるために行っていることはありますか?

萩原氏

リリース直後は、ゆるめるモ!の曲をテーマソングに使ったCMを作り、YouTubeで展開したり、渋谷の大型ビジョンで数日間流したりしました。

そのタイミングに合わせて、大きなポスターを渋谷の地下鉄の通路などに貼り出すなどのプロモーションを行いました。

ゆるモ!プロモーション
引用:ゆるモ!
オールコネクトマガジン編集部

テーマソングとなった「全肯定協奏曲」はゆるモ!をイメージして作られた曲ですか?

萩原氏

いえ、もともとあった曲です。

ゆるめるモ!の持ち曲の中から、ゆるモ!のテーマソングとしてふさわしい曲はどれかをメンバーと話し合って決めました。

オールコネクトマガジン編集部

ホームページには、メンバーが考える利用者特典も用意する予定とありました。

現時点では、どのような内容を検討されていますか?

萩原氏

せっかくの推し活SIMなので、ゆるめるモ!とファンの距離感が近くなるような仕掛けやサービス展開を軸に考えています。

今の段階で具体的にお伝えできることはまだないのですが、推し活の醍醐味はYouTubeで聴くだけでなく、ライブに来てパフォーマンスを見てもらうところにもあるので、ライブに来ていただいたときに得られる特典などを用意できればいいですね。

また、これまではゆるめるモ!というグループと、ゆるモ!という格安SIMは、ビジネスパートナーとして切り離した関係性でした。

しかし、ゆるめるモ!合同会社がモバイルアーツ傘下となったことで、ゆるめるモ!のファンクラブの特典としても、ゆるモ!を関連付けてサービス展開できないかということも、企画段階ですが考えてはいます。

オールコネクトマガジン編集部

ゆるめるモ!のファンクラブとしてのベネフィットも含めると、プロモーションの可能性や幅が広がりそうですね。

萩原氏

アイドルグループのゆるめるモ!を積極的に売り出すことで、格安SIMのゆるモ!の注目度を高めたり、逆に推し活SIMとしてのゆるモ!からゆるめるモ!を知ってもらったりといった展開ができたらいいですね。

サービス提供後の反響―ファン以外からも広がる評価

オールコネクトマガジン編集部

ゆるモ!の提供を開始してから、契約数はどのように推移していますか?

萩原氏

ゆるモ!をリリースしてからは、それなりの勢いで申し込みが増えていきました。

メンバーたちも非常に喜んで、「ゆるモ!の契約者様も、ライブに来てくれるかもしれない!楽しみ!」と話しています。

オールコネクトマガジン編集部

実際の契約者様からの声があれば教えていただきたいです。

萩原氏

プレスリリースを出した後は、格安SIMとしてのスペックについて「これ結構いいんじゃない」というコメントもいただき、手ごたえを感じました。

サービス開始後は画像のアップロードなどをデータ容量を気にせず使える部分に高評価の声をいただいています。

実際、ゆるモ!の加入ユーザーを見ると、ゆるめるモ!のファンではない人も多くいらっしゃいますが、ファンの方への特典として「ゆるモ!」のミートアップ(ライブ会場での写真撮影会)を開催し、そちらも非常に喜ばれました。

ゆるモ!の課題とモバイルアーツの今後の展望

オールコネクトマガジン編集部

ゆるモ!の販売開始後、課題に感じることはありましたか?

萩原氏

ゆるモ!のリリース以降、契約数も含め順調に運用が進んでいたのですが、残念なことに大量の不正申込があり、新規の申し込みを一時停止しています。

現在、改善策やサービス設計の見直しを含めて進めているところです。

オールコネクトマガジン編集部

推し活ユーザーには有力な選択肢となるゆるモ!の新規申込受付の、早期再開を楽しみにしています!

モバイルアーツとしては、新たな展望はありますか?

萩原氏

これまで音声SIMをリリースしてきましたが、今後はモバイルWi-Fi(クラウドWi-Fi)サービスも手がけていければと思っています。

国内外の広いエリアでインターネットがつながりやすいクラウドWi-Fiは、利便性の面でも大きな可能性があります。

ゆるめるモ!が全国ツアーを行う際に電波が繋がりにくい場所や、タイやベトナム、台湾、韓国など海外にもファンがいるので、そのまま持って行って現地のSIMにつながるサービスは魅力的です。

オールコネクトマガジン編集部

ゆるめるモ!のメンバーにとっても、ファンの方にとっても、確かに便利なサービスになりそうですね。

MVNO支援としては、どのようなサービスを展開していきたいですか?

萩原氏

ゆるモ!はゆるめるモ!やプロデューサーとの縁があり、モバイルアーツがコンセプトメイクして生み出しましたが、そもそも弊社は事業者として表に出ていく会社ではありません。

表に出ていく会社を裏で支援するのが、弊社の役割です。

ただ、今回のゆるモ!を一つのビジネスモデルとして考え、「こういうサービスのやり方がある」ということを、MVNOの新規参入を検討している事業者に対して示すことが狙いです。

ゆるモ!のビジネスモデルを見て、自分たちならこういう顧客基盤がある、販路基盤があるから、格安SIMとの可能性を探りたいという企業がアイデアを持って相談に来ていただけることを期待しています。

また、エンタメ業界にとっても、ファンに対してのベネフィットを上げていく一つのツールになるという提案になればいいですね。

そういうツールが欲しいグループや芸能事務所に向けて、ファンとのコミュニケーションのプラットフォームにしてもらえばと思います。

オールコネクトマガジン編集部

ゆるモ!の成功が、結果的にゆるめるモ!の人気にもつながっていきそうですね。

萩原氏

ゆるめるモ!が人気だからSIMが売れるのか、SIMによってゆるめるモ!の人気が高まるのか、その両方を狙っていきたいと思っています。

アイドルと格安SIMという異色の組み合わせから生まれた「ゆるモ!」は、単なる通信サービスではなく、ファンとグループをつなぐ新しい「推し活の形」を提示している。

メンバー自身が企画に参加し、ファンのリアルに寄り添ったプランを作り上げただけでなく、MVNO支援を強みとするモバイルアーツと、通信事業者として確かな実績を持つスマートモバイルコミュニケーションズが基盤を固めている点も大きい。

不正申込という課題にも誠実に向き合い、改善と再開に向けた準備が着実に進められている。

推し活ユーザーに寄り添う通信サービスとして、また、ファンとのコミュニケーションを広げるプラットフォームとして、ゆるモ!がこれからどんな未来を描いていくのか楽しみにしたい。

記事の作成・公開時期により情報が最新ではない可能性があります。最新情報をお届けできるよう努力しておりますが、サービスの最新情報は必ず公式サイトを確認するようにお願い申し上げます。

ゆるモ!インタビューアイキャッチ画像

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