北海道電力株式会社が2024年7月16日にリリースした「ほくでん光」が、今年1周年を迎える。
「ほくでん光」は北海道全域を対象エリアに、シンプルな料金設定で最大2Gbps・最大10Gbpsも選べる3つのプランを提供している。
「ほくでん光」を展開したきっかけや提供開始後の利用者からの反応について、立ち上げメンバーでもある北海道電力株式会社 販売推進部の宮﨑順也氏、上山勇一郎氏、菊地孝介氏に話を聞いた。

宮﨑 順也氏
Miyazaki jyunya
北海道電力株式会社 販売推進部 インタラクションサービスグループ 主任。函館市出身。
入社後、電気料金の請求・収受やカイゼン関連業務に携わり、2023年4月に現在の部署に異動。光回線事業の立ち上げに携わり、現在は同事業の企画や運営業務の総括を担う。
趣味はキャンプやスポーツ全般(特に息子の野球練習の球拾い)。

上山 勇一郎氏
kamiyama yuuichirou
北海道電力株式会社 販売推進部 インタラクションサービスグループ担当。小樽市出身。
入社後、2022年よりサブブランドであるコクリエでんきの業務運営に携わり、2024年10月に現在の部署に異動。現在は、光回線事業の企画や運用業務に従事し、営業現場の販売支援を担う。
趣味はバイクでのツーリング。

菊地 孝介氏
kikuchi kousuke
北海道電力株式会社 販売推進部 インタラクションサービスグループ担当。札幌市出身。
入社後、函館の事業所にて電気契約の獲得業務に携わり、2025年4月に現在の部署に異動。現在は、光回線事業の運営業務に従事し、委託事業者との調整等を担う。
趣味はランニング。秋の札幌マラソンに向けて日々練習中。
立ち上げのきっかけは「お客さまに新たな価値を提供したい」という想い

編集部:
2024年の7月16日からスタートした「ほくでん光」ですが、北海道電力がインターネットサービスの提供を始められた理由についてまず教えてください。
北海道電力 宮﨑氏:
北海道電力として「お客さまに新たな価値を提供したい」という想いから、インターネット事業への参入はかねてより検討はしていました。
電気・ガス以外にも、「快適・安心な暮らしに繋がるサービス」をお客さまにお届けしたいという目的から個人向けの光回線を提供しようとプロジェクトを立ち上げたのが始まりです。
編集部:
プロジェクトの立ち上げから実際に提供開始をするまでは、どれくらいの期間がかかりましたか?
北海道電力 宮﨑氏:
私がプロジェクトに参加したのは2023年4月でしたが、その時点である程度の検討は進められていて、概ね1年半の期間を経てリリースにこぎ着けたというイメージです。
編集部:
電力会社としてインターネット事業を新たに展開することについて、社内での反応はいかがでしたか?
北海道電力 宮﨑氏:
インターネットは生活に欠かせないインフラサービスで電気との親和性があることから、「電気とのセットでお得に!」という話も検討段階からあり、社内での意思決定もスムーズでした。
編集部:
ほくでん光をリリースするにあたり、契約者数としてはどのくらいを目標に設定されたのでしょうか?
北海道電力 宮﨑氏:
北海道内のインターネットシェア率が1%で約1万件という計算になりますので、まずはそこを目指したいということでスタートしています。
ほくでん光サービス開始後の反響
ほくでん光の提供開始時は、自社の電気サービスを契約している人をメインターゲットに考えていたという。
しかし、実際にリリースして契約件数が増えていくと、想定外の反響も見えてきたようだ。
編集部:
ほくでん光の提供開始は、まず北海道電力の契約者様を対象にPRを展開していたイメージでしょうか?
北海道電力 宮﨑氏:
基本的には北海道電力の顧客基盤を生かして「電気・ガス、さらにインターネットサービスもひとまとめで使っていただこう」という想いがあったので、まずはすでに契約をいただいているお客さまを主軸に考えておりました。
ただ、提供を開始してみると北海道電力で電気の契約はいただけていないお客さまも、ほくでん光を選んでいただけるというケースも見られたのが良い意味で想定外でした。
そういったお客さまには逆にほくでん光をきっかけに、電気も北海道電力で契約していただくとさらにお得感があるという点をアピールしていけたらと思います。
編集部:
北海道全域を提供エリアとされていますが、契約が多い地域などはありますか?
北海道電力 宮﨑氏:
最初は道央圏(札幌近郊地域)からのお申し込みが多いのではと考えていたのですが、道央圏以外のお客さまからもお申し込みをたくさんいただいて、嬉しい驚きがありました。
マンションやアパートなどの集合住宅向けプランも、全道からくまなくお申し込みいただいています。
北海道電力 上山氏:
ウェブサイトからの申し込みが多くて、若年層の方からもご好評いただいています。
契約者全体の7~8割を20代~60代の方が占めているという状況で、幅広くニーズにお応えできていると感じます。
ほくでん光のキーワードは「シンプル・快適・お得」

ほくでん光では「シンプル・快適・お得」をキーワードに、サービスを提供している。
提供するプランは3種類で、エリアや住宅タイプ、通信速度など希望にあわせた内容で選べるのが魅力だ。

ほくでん光のサービス内容やこだわりのポイントについて、詳しく話を聞いた。
プロバイダ料金込みの「シンプル」な価格設定

編集部:
まずは「シンプル」という部分について、ご説明をお願いします。
北海道電力 宮﨑氏:
光回線を利用する上で、契約先によってはプロバイダ料金が別で請求されたり、期間限定の割引が適用されても割引期間が過ぎると高くなったり、「実際にいくらか分からない」とお困りのお客さまも多いのではないかと考えました。
ほくでん光ではインターネット利用料とプロバイダ料金込みで「スタンダードプラン」なら4,000円~、「スピードプラン」で5,000円、「ハイスピードプラン」で6,500円とキリの良い金額設定にしています。
プラン | 通信速度 | 月額料金 (戸建て) | 月額料金 (マンション) |
---|---|---|---|
スタンダードプラン | 最大1Gbps | 5,000円 | 4,000円 |
スピードプラン | 下り最大2Gbps | 5,000円 (初月無料) | - |
ハイスピードプラン | 最大10Gbps | 6,500円 | 6,500円 |
北海道電力 宮﨑氏:
この金額だけお支払いいただければ光回線が利用できるというシンプルさを、まず最初に掲げました。
編集部:
他社の光回線と比較しても、戸建てプランですと月額5,500円前後、マンションプランは4,500円前後が相場ですのでほくでん光は特に安いように感じます。
北海道電力 宮﨑氏:
北海道で契約できる他社回線と比べても、価格の優位性は意識して設定しています。
「ほくでん光にして安くなった」と喜んでいただけるようにこだわりました。
ニーズにあわせて選べる高速プランで「快適」を追求
ほくでん光では最大1Gbpsの「スタンダードプラン」と、戸建て住宅向けに下り最大2Gbpsの「スピードプラン」、最大10Gbpsの超高速「ハイスピードプラン」を用意している。
北海道電力 宮﨑氏:
提供エリアが広くて安定した速度で利用できる「スタンダードプラン」と、エリアは限られますが高速の「スピードプラン」「ハイスピードプラン」を提供することで、選択肢を広く設けました。
「全道のお客様にサービスを供給したい」という部分と「より快適にインターネットを楽しんでいただける」という2軸を重視した結果です。
編集部:
快適度で言うと、ほくでん光は「IPv4 over IPv6接続」にも対応していますね。

北海道電力 宮﨑氏:
「IPv4 over IPv6接続」を標準で提供することで、インターネットを使う方が多くなる時間帯でもスイスイ繋がるので、いつでも快適に利用していただけるのもポイントです。
電気とのセットでさらに「お得」になるのが強み

ほくでん光の「お得」さを強調しているのが、北海道電力の電気契約との同時利用で1,000pt/年のエネモポイントが付与される点だ。
北海道電力 宮﨑氏:
北海道電力の電気契約とセットでご契約いただくと、弊社の「ほくでん エネモール」というサイトで使えるポイントをプレゼントさせていただいています。
他社回線との差別化という意味でも、電気とガス、インターネットを北海道電力でまとめていただけるというのはお客さまにとっても利便性が高いのではないかと思う部分です。
Webサービス「ほくでん エネモール」も好評

編集部:
「ほくでん エネモール」のサイトも拝見しましたが、電気やガスの利用料金や使用量が分かったり、アンケート回答などで貯めたポイントの使い道も色々あって楽しいですね!
北海道電力 菊地氏:
ありがとうございます。
インターネット事業もですが、電気・ガス以外にも暮らしに役立つサービスを検討し、「ほくでん エネモール」を通してお客さまの目に触れるようにしています。
歩数に応じてポイントが貯まるとともに、オンライン診療や健康医療相談チャットができる公式ヘルスケアアプリ「ほくでんヘルスケア」や、だ液によるがんリスクの検査キット「サリバチェッカー」、電気設備・水まわりの修理サービス「ほくでんの住まい修理サポート」など、お客さまのニーズにお応えできるよういろいろと揃えているところです。
編集部:
道産品を購入できる「きらめくストア」も、地域別で商品を探せるのがユニークだと感じました。
北海道電力 菊地氏:
きらめくストアはよりすぐりの道産品を取り扱うオンラインショップで、こちらもご好評いただいております。
地域ごとに商品を探せることで、北海道各地の特色や魅力をより身近に感じていただけます。
また、インターネットと電気サービスとのセット特典で付与されたエネモポイントは、1pt=1円として「きらめくストア」でのお買い物などにご利用いただけます。
今後も、お客さまの暮らしに役立つサービスをお届けしてまいります。
ほくでん光の今後の課題は「認知度の向上」

編集部:
ほくでん光を運営する北海道電力は70年以上北海道で電力サービスを提供されています。
北海道在住の方は「北海道電力の光回線」ということで選ばれる方も多いのでは、と思いますがいかがですか?
北海道電力 宮﨑氏:
北海道電力が運営するサービスだと認知して使っていただいている方は一定数いらっしゃると思いますが、実際にPR活動をしているとまだまだ知られていないと感じます。
北海道電力 上山氏:
電話や訪問などで営業活動をすると「北海道電力といえば電気じゃないの?」「本当に北海道電力が運営しているの?」というお声もお客さまからまだ聞かれるので、認知を広げていくというのは今後の大きな課題です。
編集部:
認知を得るために実際に行っている取り組みはありますか?
北海道電力 上山氏:
北海道電力の電気サービスを契約してくださったお客さまに、ほくでん光のチラシを送らせていただいたり、ポスティングしたりといった活動を行っています。
今後は広告やマスメディアを通じてアピールしていくことも検討していきたいと考えています。
北海道電力 宮﨑氏:
ほくでん光をリリースして1年経って、当初の想定よりも道央圏以外のお客さまからの申し込みも多くあったので、全道を対象にしたPR活動にも力を入れていきたいですね。
北海道電力としての今後について
編集部:
北海道電力としては、今回のインターネット事業に次いで新たなサービスの提供などは考えていらっしゃるのでしょうか?
北海道電力 宮﨑氏:
現時点でお伝えできるものはありませんが、インターネット事業を立ち上げた目的とも共通する「お客さまへ新たな価値を提供していく」という部分で、北海道の皆さまに便利な暮らしをお届けしていけるよう検討を重ねていきたいというところです。
1周年を迎えたほくでん光「お客さまの生活を支えていけるサービスを提供していきたい」

編集部:
2025年7月にほくでん光は1周年を迎えますが、今後の意気込みをぜひお聞かせください。
北海道電力 宮﨑氏:
サービス提供から1周年を迎えられるのは、何よりお客さまのおかげと感じています。
今後もお客さまに喜んでいただけるサービスやキャンペーンを展開していきたいです。
お客様に「快適・安心な暮らしをお届けしたい」というところがまず出発点としてあるので、電気とガス、そしてインターネットも一緒にご契約いただくことで「お客様の生活を支えていければ」と思っています。
インターネットと電気サービスをあわせてHEMS(ヘムズ)を使った家庭内の電気の見える化や節約など、将来的にお客様の暮らしをますます快適にする存在になっていきたいですね。
今回のインタビューを通し、北海道電力として、そして「ほくでん光」として、お客さまにできることを常に考える姿勢を感じた。
北海道全域の人々の生活に無くてはならないインフラを提供する存在として、ほくでん光が照らす未来に今後も注目したい。