スマホがつながらない「圏外」の世界は、もう過去のものになるかもしれません。
楽天モバイルは、低軌道衛星を使った新たな通信インフラ「Rakuten最強衛星サービス」を2026年第4四半期に開始する予定です。このサービスにより、日本全国のほぼすべての地域で、普段使っているスマートフォンがそのまま通信可能になる未来を描いています。
本記事では、「Rakuten最強衛星サービス」とは何か、その仕組みやメリット、さらには先行するKDDIの「au Starlink Direct」との違いについてもわかりやすく解説していきます。山でも海でも離島でも。どこにいても「つながる」を叶える新時代の通信サービスの全貌を、一緒に見ていきましょう。

- スマホが衛星と直接通信する次世代モバイル通信
- AST SpaceMobileと連携し、2026年にも商用化予定
- 山間部・海上・災害時など、電波が届かない場所でもつながる
楽天最強衛星サービスとは?【概要まとめ】
スマートフォンと衛星を直接つなぐ「Rakuten最強衛星サービス」は、楽天モバイルが手掛ける革新的な通信インフラです。全国のすみずみまで電波が届く世界を目指し、地上ネットワークに依存しない新たな通信体験を提供しようとしています。
ここでは、楽天モバイルが描く未来像、AST SpaceMobileとの共同プロジェクトの全容、そしてサービス開始スケジュールについて詳しく見ていきます。
楽天モバイルが目指す「日本全国カバー」の未来
楽天モバイルは、これまでに人口カバー率99%以上を達成してきましたが、山間部や離島など、「人はいるけれど電波が届きにくい場所」は依然として存在します。こうしたエリアを補完するために、「Rakuten最強衛星サービス」が登場しました。
これにより実現できる未来像は、次の通りです。
- 山や海、離島でもスマホがつながる
- 災害時に地上基地局が使えなくても通信ができる
- アウトドアや探検、離島旅行でも連絡手段が確保できる
今後は「どこにいてもスマホがつながる」という体験が、当たり前になっていくでしょう。
AST SpaceMobileと組んだ世界初レベルの挑戦
楽天モバイルが提携したのは、アメリカの宇宙ベンチャーAST SpaceMobile社です。
この企業は、「標準スマホと直接通信できる衛星ネットワーク」の構築を目指しており、世界中の通信インフラに革命をもたらそうとしています。
楽天モバイルとAST SpaceMobileの連携によって、以下の利便性が実現されます。
- 特別な衛星専用スマホは不要
- 既存の4G LTEスマホがそのまま使える
- データ通信やビデオ通話が可能
これまでの衛星通信サービスとは一線を画す、まさに「世界初レベル」の挑戦と言えるでしょう。
2026年第4四半期、全国ほぼ全域で提供予定
楽天最強衛星サービスは、2026年第4四半期(10月〜12月)に正式スタート予定です。現在は以下の流れで商用化に向けた準備が進められています。
スケジュール | 概要 |
---|---|
2024年9月 | 商用衛星「BlueBird」打ち上げ成功 |
2025年4月 | 福島県でビデオ通話の実証実験に成功 |
2026年4Q | 日本全国での商用サービス開始予定 |
すでにビデオ通話実験では、山間部と都市部を衛星経由でつなぎ、安定した通信ができることを確認済みです。
今後、衛星の数を増やしながら、より強固なエリアカバー体制を築いていく見込みです。
Rakuten最強衛星サービスの特徴【メリットまとめ】
「Rakuten最強衛星サービス」は、単に電波が届く範囲を広げるだけの技術ではありません。日常利用から災害時対応まで、多様なシーンで活躍できる画期的なメリットを備えています。
ここでは、特に注目すべき特徴を整理してご紹介します。
LTEスマホがそのまま使える
Rakuten最強衛星サービスの最大の強みは、今持っているLTE対応スマートフォンがそのまま使えるという点です。
従来の衛星通信では、専用機器や大型アンテナが必要でしたが、今回のサービスでは以下のようなユーザーフレンドリーな仕組みが採用されています。
- 特別な端末購入が不要
- SIMカードもそのまま利用可能
- 設定変更だけで衛星通信が使える
- ほぼすべてのLTE端末対応(バンド適合が条件)
- 端末追加コストゼロ
- 手軽に全国どこでも通信可能
これにより、利用ハードルは大幅に下がり、多くのユーザーが恩恵を受けられる仕組みになっています。
動画視聴やビデオ通話も可能な高速通信
Rakuten最強衛星サービスは、単なるテキストメッセージ送受信だけではありません。
動画視聴やSNS、ビデオ通話が可能なレベルの通信速度を目指しています。
現在の想定ユーザー体験は以下の通りです。
通信内容 | 利用可能状況 |
---|---|
SMS送受信 | ◎ |
音声通話 | ◎ |
ビデオ通話(例:Zoom、LINEビデオ) | ◎ |
SNS閲覧・投稿(例:Instagram、X) | ◎ |
動画視聴(例:YouTube 720p〜1080p) | ○〜◎ |
これにより、山頂でも、無人島でも、「普段通りのインターネット利用」ができる世界が実現します。
山・海・離島・災害時にも「つながる」安心感
Rakuten最強衛星サービスは、地形や災害に左右されない強みを持っています。
特に期待される活用シーンをリスト化すると、次のようになります。
- 登山中の位置情報共有・緊急連絡
- 離島での観光中に家族との連絡
- 海上での小型ボート利用者の安全確保
- 大規模災害で地上基地局が壊滅した場合の通信確保
- 山間部の農業や林業従事者の業務連絡
これまで「圏外だから仕方ない」と諦めていた場所でも、確実につながる手段があるという安心感。これがRakuten最強衛星サービスがもたらす最大の価値です。
KDDI「au Starlink Direct」との違い【両社の戦略を比較】
Rakuten最強衛星サービスが登場する一方で、先行してサービスをスタートしたのがKDDIの「au Starlink Direct」です。
ここでは、両者のサービスコンセプトや利用可能機能、今後の戦略をわかりやすく比較しながら解説します。楽天とKDDI、それぞれが目指す未来には違いがありますが、どちらも日本の通信環境を大きく前進させる存在です。
KDDIは「テキストメッセージ中心」で先行
KDDIが2025年4月にスタートした「au Starlink Direct」は、主にテキストメッセージ通信(SMS/RCS)に特化している点が特徴です。
- 対応エリア:日本全国(au 5G/4G圏外かつ空が見える場所)
- 利用可能機能:
- SMS送受信
- RCS(位置情報共有)
- 緊急地震速報・津波警報の受信
- Androidでは「Gemini」への簡易アクセス(メッセージ経由)
- 音声通話(VoLTE)
- データ通信(Webブラウジング、SNS、動画など)
つまり、現在は「簡単なテキスト連絡手段」として衛星通信を利用できる仕組みとなっています。本格的なデータ通信対応は、2025年夏以降を予定しています。
楽天は「データ通信対応」で動画・SNSも
これに対して、楽天モバイルが目指しているRakuten最強衛星サービスは、最初からデータ通信(高速インターネット)を実現する方向性を掲げています。
項目 | 状態 |
---|---|
SMS送受信 | ◎ |
音声通話 | ◎ |
ビデオ通話 | ◎ |
SNS利用(X、Instagramなど) | ◎ |
動画視聴(YouTube、Netflixなど) | ○ |
特に、AST SpaceMobileが開発する巨大な低軌道衛星を活用し、「動画視聴やSNSもストレスなくできる」レベルの通信速度を狙っています。
ここが大きな違いであり、「Rakutenは一気にスマホの通常利用体験を衛星通信でも再現する」という野心的なアプローチが特徴です。
競争がもたらす日本通信業界の進化
楽天とKDDI、それぞれの戦略には違いがありますが、共通して言えるのは次のポイントです。
- 通信エリアのさらなる拡張(全国面積カバー率向上)
- 災害時のリスク分散と復旧スピード向上
- 海外でも注目される先進モデルの構築
- 通信料金・サービス競争の活性化によるユーザー恩恵
今後、データ通信、音声通話、高品質動画ストリーミングなど、「地上の通信と変わらない体験」が、どこにいても手に入る時代が近づいています。
楽天・KDDIの切磋琢磨によって、日本全体の通信インフラレベルがさらに引き上げられることが期待されます。
なぜ今、衛星通信が注目されているのか?
かつてはSF映画のような存在だった「衛星通信」が、いよいよ日常のものになりつつあります。その背景には、技術革新だけでなく、社会全体のインフラに対するニーズの変化もあります。
ここでは、なぜ今、衛星通信が注目されているのか? を3つの観点からわかりやすく解説します。
「圏外をなくす」国家規模のプロジェクト
日本国内の携帯電話は、人口カバー率99.9%を達成していますが、面積カバー率で見ると実は約60%にとどまっています。
- 山間部
- 離島
- 海上
など、人が少ない・インフラ設置が困難な場所では「圏外問題」が深刻でした。
こうしたエリアでも通信を確保するため、政府も支援する形で、「全国隅々まで通信を行き渡らせる」プロジェクトが進められています。
衛星通信は、基地局なしで直接スマホとつながるため、コストを抑えながら面積カバー率を飛躍的に高める切り札となっているのです。
災害リスク・気候変動時代のインフラ再設計
近年は、地上基地局だけに依存する通信網では、災害時に「つながらない」リスクが常に存在していました。
- 大型台風
- 地震・津波
- 異常気象による災害
などが頻発しており、通信インフラのレジリエンス(強靭性)が重視されています。
衛星通信を導入することで、今や「災害時の命綱」としての通信が求められており、衛星通信の重要性はますます高まっています。
- 地上設備に障害が起きても通信を確保
- 避難場所や孤立地域でも連絡が可能
- 救援活動や安否確認のスピード向上
といった大きな効果が期待できます。
未来のアウトドア、未来の旅先での利用シーン
災害対策だけでなく、アウトドアやレジャーでも、衛星通信は新たな体験を生み出します
シーン | できること |
---|---|
登山・トレッキング | 山頂から写真・動画をリアルタイム送信 |
無人島キャンプ | SNS投稿や動画通話で仲間と共有 |
船上の旅 | 海上でも安定して位置情報を共有 |
世界一周クルーズ | 遠隔地でも常に家族と連絡可能 |
「電波がないから諦める」時代は終わり、“どこにいても、普通にスマホを使える”世界が、すぐそこまで来ています。
特に若い世代やアウトドア好きにとって、「Rakuten最強衛星サービス」の登場はワクワクする未来を感じさせるニュースといえるでしょう。
楽天最強衛星サービスの課題とこれから
「Rakuten最強衛星サービス」は、確かに夢のある新サービスですが、現時点では課題もいくつか存在しています。ここでは、サービス普及に向けた今後のハードルと期待される展望についてまとめます。
遅延・安定性・接続品質のハードル
衛星通信は地上通信とは異なる特性があり、特に次のような課題が指摘されています。
- 通信遅延(レイテンシ):
衛星を経由するため、地上基地局に比べてわずかにタイムラグが発生する可能性がある。 - 天候や遮蔽物の影響:
大雨・雪・厚い雲、または建物や山の影になると通信が不安定になるケースがある。 - 通信速度の変動:
複数ユーザーが同時接続した場合、帯域の取り合いでスピードが落ちるリスクもある。
現時点で楽天モバイルは、「動画視聴ができるレベルの高速通信」を目指しているとしていますが、一般地上回線と同レベルの快適性を実現するには、さらなる最適化が必要でしょう。
料金プランは?(まだ発表されていない最新情報)
現段階(2025年4月時点)では、Rakuten最強衛星サービスの利用料金について公式発表はありません。
予想されるシナリオとしては、以下が考えられます。
パターン | 内容 |
---|---|
① 無料バンドル型 | 既存プラン(Rakuten最強プランなど)に含めて無料提供 |
② オプション課金型 | 月額500~1000円程度の追加オプション |
③ 使った分だけ課金型 | 実際に衛星通信を使用したデータ量に応じた従量課金 |
KDDIの「au Starlink Direct」が当面無料でスタートしたように、楽天モバイルもまずは無料提供を経て、「使いやすさ」と「料金バランス」を探る段階になる可能性が高いでしょう。
正式な発表を待ちたいところです。
日本から世界へ、衛星通信の次なるステージ
「Rakuten最強衛星サービス」は、まず日本国内向けにスタートしますが、実はその先にあるビジョンも見据えられています。
- AST SpaceMobileの衛星は、グローバル展開を前提とした設計
- 日本での成功事例をもとに、アジアや世界各国への拡大も視野
- 将来的には「どこにいてもスマホが普通に使える」地球規模のネットワークへ
楽天グループの三木谷氏も、「通信の民主化を宇宙から実現する」という意欲を語っています。
日本発の最先端テクノロジーが、世界の通信地図を塗り替える。
そんな未来も、決して夢物語ではないのです。
【まとめ】楽天最強衛星サービスで、世界はどう変わるか?
「Rakuten最強衛星サービス(楽天最強衛星サービス)」は、単なる新しい通信オプションにとどまらず、日本の通信インフラそのものを革新する可能性を秘めています。
これまで、携帯電話がカバーできなかった山間部、離島、海上、災害時の孤立地域。
そうした“空白地帯”に、スマートフォン1台で繋がれる時代が訪れようとしています。
さらに、楽天モバイルとAST SpaceMobileが目指すのは、日本だけでなく、世界中どこでもインターネットにアクセスできる未来です。これは、教育、医療、防災、ビジネス、エンタメと、あらゆる分野に影響を及ぼすでしょう。
また、KDDIの「au Starlink Direct」も加わり、日本国内では、通信キャリア同士が“空の領域”で競い合う新時代が始まっています。
楽天の挑戦が、そしてKDDIをはじめとする他キャリアの進化が、最終的にはすべてのユーザーにとって、より便利で安心できる通信体験をもたらすはずです。
これから数年、衛星通信をめぐる動向は、間違いなくモバイル業界最大級の注目テーマとなるでしょう。
楽天最強衛星サービス。
それは、単なるサービス名ではありません。
「誰もがどこでも自由に繋がる世界」を作るための、はじまりの一歩なのです。